パラサイヨメンバー対談【第一弾】

パラサイヨは2020年、団体設立20周年を迎えます。
より多くの皆様にパラサイヨの歴史、魅力、メンバーの人となりを知ってもらうべく、
メンバー同士の対談企画を設けました。
今回は【対談企画第一弾】
パラサイヨ歴18年のベテランと、パラサイヨ歴1年の二人が対談します。


右:あやか(パラサイヨ歴18年)
2002年(当時大学3年生)からパラサイヨに加入。大学卒業後は大手化粧品メーカーに営業として勤務。転勤のため青森で約4年間働いた後、転職をしてボタンの卸販売会社で営業兼企画開発リーダーとして自社のオリジナルボタンを開発している。
プライベートでは2017年にパラサイヨメンバーと結婚し、2019年に出産。現在、仕事は育休中。
パラサイヨ活動についてもクラス*¹に所属し、最大限参加している。パラサイヨのほぼ全てを知り尽くしており、メンバー全員から信頼される存在。

左:ちほ(パラサイヨ歴1年)
2019年(当時高校1年生)からパラサイヨに加入。ボランティアメンバー募集サイトでパラサイヨを知る。2019年のツアー*²では、CEO*³を務め、現在はクラスに所属している。
高校では運動系の部活に入っており、受験生ということもあって毎週塾に通う。
あどけなさが残る面持ちからは想像できないほどのしっかり者。

*¹クラス…パラサイヨの中に存在するチーム。全体イベントとは別に、各チームでイベントを企画する。
*²ツアー…毎年夏に支援している児童養護施設(CMSP)を訪れるツアーのこと。パラサイヨの一大イベント。
*³CEO…ツアーにて行う、インターン企画。現地の子どもたちの教育支援プログラムをツアーにて行う。


― まずは、2人のパラサイヨ(以下パラ)との出会いについて教えてください。

あやか:大学3年生の時に就職活動でOB訪問をしていて、たくさんの社会人に話を聞いたのだけど、自分の仕事に対して愚痴っぽかったりつまらなさそうに話す人もいる中、とある集団OB訪問の時に「仕事が楽しくてしょうがない!」って感じで喋っている魅力的な人がいたのね。そんな人を見て、私も仕事をするならワクワクして、やりがいがあって、つらいことがあっても「それも楽しいんだよ!」ってそんな風に働きたいと思った。実はその魅力的な人が、パラの初代代表だったの。もちろんその時は彼がパラをやっていることも知らず…。そんな中、私は就職活動対策の塾に通い始めて、今度は就職塾の先輩として初代代表に再び出会うことになるの。「あ、この前の魅力的な人だ!」って。

ちほ:それってすごいですよね?再び出会うなんて!

あやか:そうなの。無事に内定獲得後、就職塾の先輩たちと食事をする機会があって、そこで2000年から彼らがパラサイヨという活動をしていると聞いたのね。それで誘われて、暇だったのもあってパラの活動に参加した、という感じかな。日本でイベントを作るのは楽しそうだったからやっていたのだけど、ツアーは…行きたくなかった(笑) ボランティアという言葉にもピンと来てなかったし、子供好きかっていうとそうでもなかったから、「うーん。。行きたくないな」って正直思ってたの。でも先輩が、「あやかは騙されたと思って行ってみろ!」って言ってくれたんだ。憧れの社会人にそう言われるなら、騙されたと思って行ってみようと思って行ったのがツアーの初回で、自分でもびっくりしているけど、結局その初回の2002年から今まで毎年ツアーに参加してるの。パラサイヨのメンバーは、みんな仕事も楽しくやりながら、サードプレイスとして活動を行っているよね。家族や恋人がいて、仕事も頑張って、そのなかでもう一つ頑張っていることとしてパラがあって。決して目的がボランティアだったわけではなくて、かっこいい社会人になりたかった。仕事もできて、趣味も楽しんで…っていう、その理想像の中にいる人達がやってることだったから、飛び込んでみよう!みたいな。

ちほ:ボランティアってものにピンと来てなかったのは私も同じですね。「誰かを助けたい」って思えるほど、自分に余裕があるわけではないし、まだまだ自分のことしか見ていない気がしていて。だからそもそもボランティアをしたくて応募したってわけじゃないんです。私、小学校から同じ学校に行ってるんですけど、ある時ふと、自分は学校に行って、友達としゃべって、塾に行って帰ってきてまた学校に行って…みたいな毎日を十何年も続けてるんだなって気づいて、このままだと同じことしかしないで大学に行っちゃうんだろうなって思ったんです。でもそうじゃなくて、何か違う場所で、新しい刺激とかを得たいなと思った。年上の人と関わったこととかもなかったし、とにかく違う経験をしたいと漠然と思っていたんです。そんな時パラサイヨの説明会があることを知って、あ、じゃあ行こう見たいな感じで。行った時のことはあまり覚えていないんですけど(笑) でも気づいたら1年経ってたって感じですね。

あやか:ほかの団体もたくさん載ってるウェブサイトだったのに、どうしてパラサイヨを選んだの?

ちほ:まず説明会があるって書いてあったのと、無料って書いてあったから、じゃあいっか、みたいな(笑) 説明会に行った当時はそんなに多くのメンバーには会わなかったんです。説明会の翌月の全体のミーティングでイベントを作ってるところに同席したり、いろんな人が話しているのを聞いて、パラサイヨってこういう団体なんだなって徐々に理解していきました。ボランティアってこういう風に進められているんだなって思ったりもしました。

あやか:そうだったんだね!始めるときに思っていた、今までとは違う経験をしたい!っていうのは叶ってるかな?

ちほ:はい。今思うと、パラに入ってなかったら出会わなかった人とか、できなかった経験とか、そういうのがたくさんあって、ありがたいなあって思います。この一年間だけでもいろんな経験ができて、すごいなって。説明会に行ったときは、この後どうなるんだろって感じだったけど(笑) 正直、最初はイベント企画とかよくわからない状態で、集客とかお金のこととか。何度かミーティングに行って、初めてCEOの話が出たときに、「これなら私にもできそうだな」って、やってみたいと思って立候補しました。とりあえずやってみようと。

あやか:出来上がってるものに入っていくのはなかなか大変だよね。その点CEOは、まっさらな状態からできたからよかったんだね。

 

― そんなきっかけで活動を始めた2人、活動を続けている理由はどこにあるのでしょうか?

ちほ:初めてツアーに行ったとき、一番仲良くなったのが一個下の高校一年生。年が近いことがお互い分かったので、まず向こうで会ったときは、学年を聞くところから会話が始まったんです。パラのみんなは「子どもたちに会いに行く」って感覚かもしれないけれど、私にとっては同い年の子も多くて、友達になれたっていうのがあって。だからこそこっちに帰ってきて、自分が勉強したいことがあって大学に行きたいって思うのと同じように、フィリピンで友達になった子どもたちも将来やりたい仕事があって、そのために大学に行きたいって気持ちがある。だから金銭的な支援は必要なんだって実感しました。日本に帰ってきて、友達になった子たちに対して自分ができることは何か、と考えたら、パラを続けることなのかなって思ったんです。

あやか:そっか。社会人メンバーとは違う視点でこの活動を見ることが出来てるんだね。

ちほ:そうかもしれないです。ツアー中は、今後の活動について、自分も受験とかもあるから続けるのはどうしようかなって思ったんです。でも帰国してから、自分が大人になっていくのと同時に、子どもたちも大人になっていくんだと思った時に、自分も続けられる限り続けたほうがいいなと感じました。初めてのツアーでCEOをやって、その時はCEOのことだけで頭がいっぱいだった。でも帰国して、パラサイヨのメンバーの一人としてツアーを振り返ったときに、子どもたちと友達になって遊んだ思い出がやっぱり多かったなって思います。

あやか:じゃあ今年のツアーも絶対参加する!って意気込みかな?

ちほ:今年は20周年ツアーですごく盛り上がっていますが、今年は受験でツアーに行けないと思うんです。だけど再来年のツアーには絶対に行きたいから、20周年で終わるのではなくて、21周年以降もツアーが続いて盛り上がるようにしていきたいなって思ってます!

あやか:すばらしいね!私はこれまで何かを18年も続けたことがなくて、パラが1番長く続けていることになっているよ。ちほは2003年生まれ、私の初ツアーは2002年だから、ちほが生まれる前からツアーに行ってるだよね。そんな風に、私が初めてツアーに行った年に生まれた子たちがもうパラにメンバーとして参加している。まさか自分でもそんなに続けるとは思っていなかったの。私が初めてツアーに行ったときは同期が12人いたんだけど、今も続けてるのは3人。2~3年続けた人は多いかな。でも10年以上ってなると一握りになってくる。みんなライフステージが変わるからね。大学から始めたら、就職をして、転職したり、結婚したり子どもできたり。ステージが変わるタイミングで辞めちゃう人も多かったなぁと。

ちほ:何で続けられているんでしょう?

あやか:私の中で一番大きいのは、パラサイヨの仲間、ここで出会う仲間が好きなんだ。この活動をしていると、支援している子どもたちが好きで活動をやっている人、CMSPの経営者やスタッフを尊敬している人もいれば、日本で仲間と一緒にイベントを作る時間が好きっていう人もいて、活動のモチベーションは様々なんだよね。私も、もちろんCMSPを支援できることっていうのは嬉しいことなんだけど、私が続けてこられた理由で一番大きいのはパラで出会った仲間たちの存在かな。一緒に熱くなって、時には涙も流して…。私、スポ根苦手なのにこういう涙は嫌いじゃなくて。(笑) みんなで一緒に誰かのためを想って何かを作るために切磋琢磨している時間も好きだから続けられているんだと思う。それと、最近思うのは、活動を休みなく続けながら古いメンバーと新しいメンバーの両方を知ってるのって私くらいなんじゃないかなって。そういう意味では絶滅危惧種みたいな(笑) 2000年の創設メンバーも知ってるし、現在の新しいメンバーもみんな知っていて、その双方をつなげられるのって私の使命なのかなって。最近はそれも私がこの活動を続ける理由にもなってきてるかな。

ちほ:やめたいと思ったことはないんですか?

あやか:いや意外とないかなぁ。もう2度とリーダーはやりたくないっていうイベントはあったけど(笑) 活動自体をやめたいと思ったことはない。かなり大変だったイベントの中で印象に残っているのはパラカップ*⁴の運営統括。4~5000人規模の時で、毎週徹夜して準備して、満身創痍だったなあ。終わったときは自分で自分をほめたかった(笑) とにかく安全に終われるように準備するので、楽しいだけじゃダメだったから、ミーティングが神妙な雰囲気の時もあったかな。それもまたいい経験だったし、パラの仲間との絆もより深まったけどね。

*⁴パラカップ…パラサイヨ主催のマラソンイベント。規模が大きくなったため、社団法人を設立し運営をパラサイヨから切り離した。

ちほ:質問なんですけど、昔のイベントと今のイベントの方向性の違いってありますか?

あやか:昔(2000年代)は規模感が大きかったかな。集客で一人50~70人呼ぶこともあったよ。BBQ、コンサート、パーティー系とかね。集客ノルマがつらいですっていう声が時代とともに増えてきたので、規模感は小さくなってきたかな。あと、2000年代はボランティアって言葉は、嘘くさかったというか、怪訝に思われるところがあった。そんなのやって大丈夫なの?怪しい団体じゃない?みたいなね。だから誤解されやすかった時代と言えるのかな。震災とかがあって、“ボランティア”って今は馴染みのある普通の言葉になってきたよね。ちほはパラに入る前、怪しい団体じゃないかって心配しなかった?

ちほ:怪しい団体とは思わなかったですね。子どもたちと映ってる写真を見て、ちゃんと寄付して活動してるんだなって思ってみてました。

 
― いよいよ20周年を迎えますが、これからやっていきたいことはありますか?

ちほ:今はクラスで実施したボーリングイベントが終わった段階なので、まだ考えられません(笑) 今回のイベントが初めて一から関わったイベントだったんですけど、集客の方法とかお金の回収方法とか、当日隙がないようにExcelで香盤表作ったりとか、イベントってこうやって作るんだって初めて知りました。イベント当日、私は司会をしたんですけど、やっぱりトラブルもあって。その時、パラメン*⁵がアドリブで場をつなげてくれて、自分はまだまだできないところもあるなあって思いました。だから楽しいイベントを作ることはもちろんなんだけど、これからもいろんなイベントをして、いろんなことを経験して、きちんとイベントを進められるようになりたいですね。

*⁵パラメン…パラサイヨメンバーの略。

あやか:一回やってみるといろいろわかるよね。イベントってすべて応用で、基本は変わらないから。

ちほ:今年の運動会の香盤表を参考に今回のイベントの香盤表を作ったんですけど、運動会を始め、パラのイベントはこうやって作られてたんだなって学びがありました。

あやか:香盤表でいうと、まっさらの状態から作るって難しいけれど、参考資料があれば頑張れるよね。人があって、モノがあって時間があって、っていう風にアウトラインがあるからね。パラには社会に出たら使えるスキルがいっぱい身につくよ。

ちほ:んー…Excelとかですか?

あやか:そういったパソコンスキルもそうだし、みんなの前で話す機会も多いから、社会人になってもプレゼンとかあんまり抵抗ないよね。イベント企画も、例えば販促のイベントやりますってなった時に、イベント企画には何が必要なのかが分かる。日時・場所を決めて規模感を決めて…とかね。パラで使う知識は外でも使えるよ。社会人になったら、経理の人は経理の仕事しかしないけれど、パラではいろんなことができる。私は営業畑の人間だけど、パラでは会計やったりデジタルマーケティングやったり。パラは人に尽くすだけじゃなくて、自分に返ってくるものもたくさんあるよ。

ちほ:あやかさんはこれからやっていきたいことはありますか?

あやか:自分のような立場の人を増やしたいな。長く続けていって、また次の20年を誰かに伝える人が出てくるようにね。例えばちほがこれから先20年続けていって、その20年間を誰かに伝える、みたいなことも夢じゃないんだって最近思ってる。そもそも最初は20年も続くと思ってなかったからね。

ちほ:それはいつ終わっておかしくないということですか?

あやか:そう。私たちの活動は今年で終わるかもしれないよね、って。みんなそんな先のことはまだまだ考えられなくて。でも、希望としては続けていきたかったし、団体方針としてもCMSPを支援し続けるっていうのはあったんだよね。続けていきたいっていう目標に近い意識が芽生えたのは、10周年くらいかな。

ちほ:今は「孫の代までPARASAIYO」ですよね。

あやか:そうそう。それが実現するにはあと何年かかるかな。30年くらいかな。それだけ長く続いてくれればいいなって思うし、長く続けてくれる人がたくさんいる団体にしたい。ライフステージが変わっても、去ってしまうのではなくて、ずっと関わり続けられるスタイルを作っていきたい。一度お休みして、戻ってくるのももちろんウェルカムだしね。

ちほ:今後の私になにかアドバイスはありますか?

あやか:ちほはまだ高校生なんだよね。私が言えるのは、可能性を広げたほうがいいってことかな。ちほは出来ていると思うけれど、いろんなことに興味をもって、行動して、また別の興味があることが出てきたときに、そのチャンスを掴めるようにね。私は人に会うことが財産だと思っているの。「人は人でしか磨けない。自分の引き出しを増やしなさい。」私は大学生の時にこの言葉をもらったの。人に会うことで、その人の人生経験を吸収することができるし、人の言葉からその人の引き出しを覗くことで、自分の引き出しを増やすことができるんだよね。人に会って、相手の背景を考えたり、性格を考えたりするといろんな人がいるってことが分かる。そうすると、他者との違いを認められるし、違いを理解できる。だから、パラにいるいろんな人と喋ってほしい。パラの魅力の一つは、いろんなバックグラウンドを持った人たちがたくさんいて、毎年新しいメンバーに出会えたり、初めて出会うベテランメンバーに新しく出会えるところ。たくさんの人と話す中で、自分のやりたいことも出てくると思うんだ。人の話を聞くのはすごく財産になる。そうして素敵な20年間を過ごして、また次の世代につなげていってほしいな!

ちほ:ありがとうございます!いろんな人と話して、ワクワクしたいです。あやかさん、ベテランメンバーとの懸け橋役、よろしくお願いしますね!

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