フィリピンの学校制度と、隠れたコスト
「無料」なのは授業料だけ。進学の壁はもっと地味な場所にある。
こんにちは、ParasaiyoのSteveです。
フィリピンの学校は、何月に始まるかご存知ですか。
「4月じゃないの?」と思った方、日本人として自然な感覚だと思います。アメリカやヨーロッパを知っている方なら「9月?」かもしれません。どちらも違います。答えは6月です。
日本は4月入学、3月卒業。これは何十年も変わっていません。入学式といえば桜、というイメージが染み付いているくらい、ほぼ固定されています。
フィリピンは、そうじゃないかもしれません。
公立の小中高は長らく6月スタートでしたが、コロナ禍に入って9月スタートに移行し、そして今年(2025-2026年度)からまた6月に戻りました。マルコス大統領が「国民の声に応える」として承認した形です。大学はK-12という教育改革を経て、フィリピン大学(UP)やアテネオ・デ・マニラ大学のような有名校は8月スタートへ移行しました。UPはフィリピンの東大とも呼ばれる国立の最高学府で、そこに入れるかどうかが人生を左右すると言われるくらい、フィリピンでは特別な存在です。ただ大学によってスタート時期がバラバラで、7月という学校もあります。
制度が変わること自体は、どの国でもあります。でも、変わるたびに追いかけていかなければならない書類、手続き、スケジュール。それを誰かがサポートしてくれる環境があるかどうかで、子どもの未来が変わってしまうかもしれないというのが、フィリピンの現実の一部だと思っています。
貧困層の家庭では、親自身が高い教育を受けていないケースも多い。制度が変わったことすら知らないまま、気づいたら入学の手続きが終わっていた、ということも起きうる気がします。
小学校卒業生
ジュニアハイスクール(中学校)卒業生
もう一つ、日本と大きく違うことがあります。
フィリピンの大学は8月入学が多いのですが、高校の卒業は3月から4月頃です。卒業してから入学まで、数ヶ月の空白期間があります。
「授業料が無料なら、進学できるんじゃないの?」と思うかもしれません。フィリピンでは2017年に公立大学の授業料無償化が法律で定められていて、学費の壁は以前より低くなっています。
でも、授業料が無料でも、生活費や交通費、家族への仕送りは別の話です。その数ヶ月の空白期間に働き始めた子が、そのまま戻れなくなるケースがあると聞きます。学費の問題というより、生きていくための問題に近いのかもしれません。
進学したい気持ちがあっても、その数ヶ月が壁になってしまうことがある。そういう構造が、静かにあるような気がしています。
送金先はCMSP(Christian Mission Service Philippines)というフィリピンのNGO団体です。CMSPはいくつかの施設を運営していて、Parasaiyoが主に関わっているのはカビテ州ナイクにある施設です。そこで集まったお金は、子どもたちの日常を支えるために使われます。
そこでは子どもたちが生活しながら近くの学校に通っています。高校を卒業すると原則として施設を離れますが、近隣の大学や専門学校に進んだ子たちは、スタッフの手伝いをしながらそのまま施設に残るケースもあります。実家に戻る子もいますが、家に帰ると兄弟の世話や家族のサポートを求められることが多くて、気づいたら学業から離れてしまう、という話も珍しくないようです。
今年も、数人の子どもたちが8月の入学を控えています。フィリピンの物価上昇と円安が重なって、例年より支援が必要な状況になっています。
施設で生活する子どもたち
施設での様子
Parasaiyoでは毎年この時期、進学する子どもたちを支援するためのクラウドファンディングを行っています。「シーズナルパートナー」と呼んでいる、フィリピンの新学期に合わせた単発のプログラムです。
詳しくは寄付ページをご覧ください。