CMSPの紹介

こんにちは、パラサイヨのSteveです。

 

今回は、私たちが支援している児童養護施設「CMSP」と、フィリピンの学校システムについてご紹介します。

 

CMSPについて

CMSPは、Christian Mission Service Philippinesの略称で、私たちパラサイヨとの関係は2000年にさかのぼります。しかし、CMSP自体の歴史はそれよりも前、1989年に始まりました。その当時、フィリピンのキリスト教指導者たちは、子どもたちへの深い愛情をもって、ドイツのChristlicher Missiondienst(CMD)<https://cmd-kinderhilfswerk.de/>と提携し、貧しい人々を支援するためのプログラムを立ち上げました。このプログラムは、子どものケア、医療支援、救援活動、牧師の育成などを提供していました。

 

CMSPの活動はカビテ州ナイクで少数の子どもたちを支援することから始まりました。その後、施設を設立し、衣食住を提供する4棟の「ハウス」を建設しました。現在では、10棟に増えています。1992年には、社会福祉開発省(DSWD)からの公式認可を受け、ナイクだけでなく他の地域でもデイケアセンターの運営を開始しました。

 

現在、CMSPはカビテ州ナイクの児童養護施設のほか、カラカ、ピナグブハタンにデイケアセンター、シプコットに小学校を運営しています。また、マニラのパッシグにはオフィスがあります。

 

パラサイヨが訪問するナイクの児童養護施設

私たちパラサイヨは、毎年夏にカビテ州ナイクの児童養護施設を訪れます。ここでは、小学校から高校までの教育プログラムがあり、近隣の大学に通う卒業生も支援しています。子どもたちは「ハウス」と呼ばれる住居棟で生活し、ハウスペアレントと呼ばれるスタッフが24時間体制でサポートしています。

 

子どもたちの一日は、早朝5時半に起床し、施設内清掃から始まります。朝食後には予習の時間があり、その後は学校へ向かいます。帰宅後は自由時間を楽しみ、夕食後には30分間の聖書の勉強があります。その後宿題の時間があり、就寝前の1時間はテレビを見る時間となっています。

 

食事に関して、ナイクの児童養護施設では1日に3回、食事が提供されます。基本的なメニューはお米と1品のおかずで構成されており、豪華な食事ではありません。しかし、施設で生活する子どもたちは、毎日3回の食事を提供されることに深い感謝の気持ちを持っています。なぜなら、彼らの多くは家庭環境が貧しく、自宅では3食をしっかりと食べることができない状況にあるからです。家に帰れば、食事はもっと不確実で、兄弟が多いと食べ物が足りないことも少なくありません。そのため、施設での食事は、ただの栄養補給以上の意味を持ち、安定した食生活への感謝とともに、身体だけでなく心の支えとなっているのです。

 

この児童養護施設に預けられる多くの子どもたちは、貧困が主な理由でここに来ます。彼らの受け入れプロセスは、政府からの問い合わせを受け、候補者リストが施設に送られた後に始まります。その後、施設のソーシャルワーカーが候補者の家庭環境を評価するためのスクリーニングや家庭訪問を行います。この厳格なプロセスを通じて、CMSPのプログラムに合う子どもが選ばれます。また、関連の教会からの紹介によって施設に来る子どもたちもいます。

 

例えば、ジム君(仮名)のケースを挙げますと、彼は両親と2人の兄弟、合わせて5人家族でトライシクル(写真参照)を生活空間としていました。昼間は父親がトライシクルをタクシーとして運転し、夜はその中で家族が共に生活していたそうです。現在は数家族と共に家を借りて生活していますが、CMSPに預けられた当初はそのような状況でした。

 

 

最後にフィリピンの学校に関して

 

CMSPに預けられた子どもたちの中には、入所後に初めて学校教育を受けるケースもあります。そのため、年齢と学年が一致しないことがあります。例えば、8歳で預けられた子どもが学校に通い始める場合、日本では3年生に相当しますが、フィリピンでは1年生からのスタートになります。年齢の相当する学年に進級できる試験もあるようですが、そう簡単に受かるわけでは無いようです。

 

フィリピンの教育システムは日本とは異なる構造を持っています。日本の場合、教育期間は小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年です。一方、フィリピンでは小学校が6年、中等教育がジュニアハイスクール(Junior High School)で4年、高等教育がシニアハイスクール(Senior High School)で2年となっており、その後に大学教育が続きます。合計すると年数は同じですが、フィリピンでは中等教育が前期4年(ジュニアハイスクール)と後期2年(シニアハイスクール)に分けられ、後期では専門的な科目を選択して学びます。

 

また、フィリピンでは15歳から24歳までの若者の学校離脱率が6.4%と、日本の高校中退率2%と比べて高いことが分かります。この差異の背後には、離脱の理由が大きく関係しています。日本では、就職や経済的な理由、いじめ、学校への不適応が主な離脱理由です。一方フィリピンでは、貧困、児童労働、妊娠・出産、社会的な紛争、教育へのアクセスの難しさが主な原因として挙げられます。

 

日本と違って、離脱理由が妊娠、出産、児童労働なのがびっくりですね。

 

CMSPでは、「Productive member of society(社会の中で生産的な人間)」を育てることを理念として掲げ、子どもたちに教育の大切さを伝えています。

 

今回は支援先のCMSPの話と意外と知らないフィリピンの学校に関してのお話でした。

 

Steve

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